名前の定着

ラスベガスで開催されていた「コムデックス」というコンピュータ関連の展示会において、1992年、「Simon」というタッチスクリーン式の携帯電話をIBMが発表しました。コンセプトモデルとしての発表でしたが通話機能の他にメールやファックスの送信機能、さらには携帯電話に対応したサイトの受信機能など、携帯電話とPDAの機能を兼ね備えているという特徴を持っていた機種でした。この特徴から「Simon」がスマートフォンの始まりだという声もあるのです。

しかし、携帯電話とPDAを掛け合わせた機種はその当時スマートフォンとは呼ばれておらず「コミュニケーター」と呼ばれていました。「スマートフォン」という呼び方が定着した時期というのは諸説ありますが、一般的には1995年だと言われています。何故ならアメリカで発行されたビジネスマン向けの資料において、AT&Tが発表し「PhoneWriter Communicator」というデジタルデバイスに、スマートフォンという総称が使われているからです。

このように、1990年代からスマートフォンのベースとなるようなPDAと通話機能を掛け合わせた機種というのは、続々とリリースされていました。しかし、これらが今のスマートフォンのように一般的に普及していくのはもう少し後のことになります。特に日本では独自の携帯市場が完成されていたため、PDA自体もあまり普及していませんでした。